肉屋ジプシーへの予感


商店街のなかにある、贔屓にしていた肉屋。
通り道にいきなり面した陳列棚の向こうのお店の人に声をかける、昔ながらの対面販売で
量った肉を、笹を模したプリントのされた紙(何と言う名称だっけ)でくるっと包み
ビニル袋にいれるだけの簡易包装。
活気もあるし回転も良いから、肉も新鮮で、家族皆が気に入っていたのだ。
特に、子どもなんて「ぶたバラさんびゃく、くださーい」と自分で言うのを
お店屋さんごっこみたいに思っていて、楽しみにしていたようだったし
そういう光景が微笑ましくて好ましかった。


突然改装のお知らせがあり、しばらく休み。
什器類の交換かな?
この辺りのスーパーの肉、今イチなんだよなぁ、色が妙に鮮やかでさ
はやく改装終わんないかしらねぇ
なんて、のんきに構えていた。


さっそく新装開店したお店に行くと
自動ドアができている!
中を覗いてみて...脱力した。
スーパーの精肉コーナーのようなセルフ式になってしまっていたのだ。
肉は皆、白いトレーにパックされている。
前は見かけなかった、大手メーカーのハムやソーセージなんて置いている。
同じ肉が扱われていたとしても
あの白い四角いのに収まっているだけで、何故か不味そうに見えてしまう。
店の事情なのだろうが
改装前の良さが全部消えてしまったよ。


肉だけ除外の似非ベジタリアンになろうか。
冗談だけど、まるっきり冗談とも言えない心境。